FNA出海
「FNA 日中製造業ビジネス交流活動」に参加した日系企業視察団(上海鈦虎機器人のショールームにて)

Ti5 ROBOTの新工場を再訪|人型ロボ導入の好機は来たか

2026年10月29日Ti5 ROBOT人型ロボット工場見学量産コスト低減日系企業

要約

2026年10月27日、FNAが主催する中国の人型ロボットメーカー視察シリーズの第2弾として、上海鈦虎機器人科技(Ti5 ROBOT)の工場見学会を開催しました。在中国日系企業の生産管理・製造・設備改善の担当者らが、ロボットの試験エリアと新しい組立工場を見学。今回の焦点は製品理解から、新工場での増産、量産・納入体制の拡充、量産によるコスト低減へと移りました。Ti5 ROBOTは量産対応のため工場を拡張し、量産効果により製品価格は大幅に低下しています。参加企業からは導入コスト、製品認証、作業精度、連続稼働時間やタクトタイム、個別仕様への対応、納期、保守体制などについて質問が相次ぎ、めっき工程での人手代替の可能性も議論されました。

初回視察の高評価を受け、新工場の増産体制と量産によるコスト低減に注目

2026年10月27日、工場網信息科技(上海)有限公司(以下、FNA)は、中国の人型ロボットメーカーを訪問する視察シリーズの第2弾として、上海鈦虎機器人科技有限公司(以下、Ti5 ROBOT)の工場見学会を開催しました。在中国の日系企業から、生産管理や製造、設備改善などを担当する関係者が参加し、ロボットの試験エリアと新しい組立工場を見学しました。ロボットの導入や生産ラインの改善、コスト低減に向けた連携、新たな事業機会の創出などをテーマに、意見交換を行いました。

「FNA 日中製造業ビジネス交流活動」に参加した日系企業視察団(上海鈦虎機器人のショールームにて)

初回の見学会は参加企業から高い評価を受け、Ti5 ROBOTの量産能力や人型ロボットの実用化の進展について、さらに理解を深めたいという声が複数の企業から寄せられました。こうした要望を受け、FNAは今回の見学会を企画しました。今回の訪問では、製品・技術に関する理解を深めることに加え、新工場での増産、量産・納入体制の拡充、量産によるコスト低減、実際の導入などを主なテーマとしました。訪問先の新しい組立工場は、量産規模の拡大に対応するためTi5 ROBOTが拡張した新たな生産拠点です。受注増加に伴い、同社は工場規模を拡大するとともに、組立工程の自動化を継続的に進めています。参加者は現地で、主要部品の使用前試験・検査、製品の試験・検証、組立から納入に至るまでの工程を確認しました。

視察団がTi5 ROBOTのショールームで人型ロボットの実機展示を見学
視察団が新組立工場で生産ラインと車輪型人型ロボットを見学

活用シーンから産業用途へ 自動化の進展が広げる協業の可能性

見学後の技術交流では、Ti5 ROBOTから中国における人型ロボットの活用動向と事業展開について説明が行われました。同社は、人型ロボットが技術検証の段階から本格的な商用化へと移行しつつあり、車輪型のロボットが先行して実用化される可能性があるとの見方を示しました。二足歩行型と比較して、車輪型は床面が平坦な企業施設内などの環境に適しており、連続稼働時間の長さ、導入コストの低さ、安定性、投資対効果の面で優位性があると説明しました。

用途別に見ると、現在はデータ収集と教育・研究が活用の中心となっています。今後は、商用サービス、製造、物流・倉庫も、市場拡大をけん引する重要な領域になると期待されています。産業分野では、部材の搬送・供給にとどまらず、精密作業や品質管理まで適用範囲を広げる方針が示されました。具体例として、部材の搬送・補給、加工設備へのワークの投入・取り出し、精密組立、検査・選別などが挙げられました。また、ツールチェンジャーを活用して作業内容に応じて工具を交換することで、同一のロボットを複数の工程で活用し、設備の活用効率と生産ラインの柔軟性を高めることを目指しています。Ti5 ROBOTは現在、作業環境や工程が標準化され、投資対効果を算定しやすい企業向けの用途を優先して、人型ロボットの導入を進めています。

量産によるコスト低減が進展 製造現場で導入を検討する好機に

Ti5 ROBOTによると、新工場の拡張と量産規模の拡大に伴い、量産効果によるコスト低減が徐々に表れ始めており、人型ロボットの製品価格も大幅に低下しています。これまで初期導入費用の高さから導入を見送っていた製造企業にとっても、導入の経済合理性を検討しやすい環境が整いつつあります。投資回収の見通しや生産ラインの改修計画についても、より具体的な試算・検討が可能になっています。

こうした変化は、今回の技術交流でも参加企業の関心を集めました。新工場の拡張による生産能力の向上、納入体制の強化、製品価格の低下を背景に、人型ロボットは単なる「技術動向を把握する対象」から、「導入効果を評価し、具体的な導入を検討できる生産改善の選択肢」へと位置付けが変わりつつあります。省人化、安全対策、自動化の推進に取り組む製造企業にとって、今は導入条件を改めて見直し、自社の工程に適した活用シーンを選定するとともに、導入に向けた事前検証を進める重要なタイミングといえます。

質疑応答では、ロボットの導入やコスト低減に向けた協業をテーマに、活発な意見交換が行われました。参加企業からは、導入コスト、製品認証、作業精度、連続稼働時間やタクトタイム、個別仕様への対応、部品の中国国内調達率、納期、導入後の保守・サポート体制など、実際の導入検討に関わる幅広い質問が寄せられました。移動時の安全性、過酷な環境への適応、ワークの投入・取り出し工程への適用、省人化など、現場での具体的なニーズも共有され、めっき工程についても、人手作業をロボットに置き換えて安全リスクを低減できるか、その可能性が議論されました。人型ロボットの量産化が進むなか、企業の関心はロボット本体の性能にとどまらず、生産効率、品質の安定性、納入能力を含む供給体制全体へと広がっています。

人型ロボットの導入を検討する企業には、量産体制の拡充と価格低下を踏まえ、自社の具体的な工程に即した導入効果の試算や事前検証を進めることが求められます。FNAは、こうしたニーズに応じてTi5 ROBOTとの連携を支援し、現場調査、導入方案の協議、具体的な協業の検討につなげていきます。

Ti5 ROBOTが中国における人型ロボットの活用動向と事業展開について説明
技術交流会の会場で説明に耳を傾ける日系企業の参加者
質疑応答の様子:導入コストや作業精度、納期などについて意見交換
テーブルを囲み、人型ロボットの導入とコスト低減について議論

FNA、ロボット・スマート工場の見学会を継続

FNAは今後も、市場情報の提供や工場見学、企業間のマッチングなどを通じて、在中国日系企業の要望に沿ったサービスを提供し、日中製造業の交流を支援していきます。今後の活動では、安全対策、省人化、精密組立、品質検査などに関する企業の実際のニーズを踏まえ、ロボットメーカーと製造企業が活用場面についてより深く意見を交わす機会を設けます。情報収集にとどまらず、現場の声と技術のマッチング、協業の検討へとつなげていく方針です。

2026年に入ってから、FNAは人型ロボット、産業用ロボット、スマート製造、工場自動化、日中製造業の連携などをテーマに、複数の工場見学会や交流会を開催してきました。今後もロボットメーカーやスマート工場、先進的な製造企業への訪問を継続し、中国のロボット市場や産業の最新動向を発信するとともに、日系企業が新技術への理解を深め、新たな活用シーンを検討し、協業先を開拓するための支援を進めていきます。