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産業動向|中国ロボット市場の「次の商機」を読み解き

産業動向|中国ロボット市場の「次の商機」を読み解き

2026年9月7日ロボット人型ロボット中国製造業週刊

2025年、中国産業用ロボット市場におけるローカルメーカーのシェアは約54%に達し、外資系ブランドを初めて安定的に上回った。しかしながら、当該数値は市場全体の平均値に過ぎず、機種別・用途別に詳細を分析すると、「不均等な逆転」の構造が明確に浮かび上がる。


協働ロボットおよびDelta分野では中国メーカーが市場の8〜9割を掌握する一方、大型6軸やクリーン環境用途では外資メーカーが6〜7割のシェアを維持し、盤石の陣地を構築している。また、政策環境においても、マクロな産業戦略の策定から、ヒト型ロボットを中心としたエコシステム構築・応用シーン開拓へと質的転換が進行中である。


本稿では、FNA調査部の最新データに基づき、機種別・用途別の市場構造と政策動向を客観的に整理し、日系企業にとっての「次の商機」を読み解きます。

国産化率の推移と転換点

国産化率の長期トレンド

中国産業用ロボット市場の国産化率は、2015年の17.5%から着実に上昇を続け、2025年には54.0%に達した。特に2022年以降の上昇傾向が顕著であり、2023年の45.1%から2024年の52.3%、そして2025年の54.0%へと、わずか3年間で約17ポイントの上昇を記録している。

上昇の背景要因



太陽光発電、リチウム電池、新エネルギー車分野における自動化需要の拡大を背景に、中国メーカーはコストパフォーマンスと迅速なサービス対応を強みとして、いわゆる「四大ロボットメーカー」をはじめとする外資系ブランドの代替を加速させている。これは単なる価格競争ではなく、供給チェーンの連携能力、納期短縮、カスタマイズ対応力など、システムとしての総合力の優位性が反映されている。

機種別シェア構造

中国メーカー優位領域

協働ロボットおよびDeltaロボット分野では、中国メーカーが市場の大部分を占める。比較的参入障壁が低く、食品、医薬品、3C部品のピッキングなど新興アプリケーションが多い領域において、中国メーカーのコスト競争力と迅速なカスタマイズ対応が優位性を発揮している。

「中間地帯」

CARAおよび小型6軸は、外資メーカーが一定のシェアを維持するものの、中国メーカーの急激な台頭により優位性が徐々に縮小している分野である。3C電子部品の組立や精密搬送など、要求精度が中程度で量産性が重視される用途において、国産化が一段と進行している。

外資メーカー優位領域

大型6軸分野では、外資系メーカーが63%という高いシェアを維持している。高負荷・高精度・高信頼性が求められる自動車製造や重厚長大産業においては、外資ブランドの技術的・実績的な信頼が依然として厚い。ただし、太陽光発電や新エネルギー車などの大型ワークを扱う新興分野では、中国メーカーの浸透も進展しており、中長期的には同領域のシェア構造にも変化が生じうる。

用途別国産化状況

機種別の傾向と同様に、用途別の国産化率にも明確な境界線が認められる。

中低価格帯市場:代替のほぼ完了

3C電子機器、金属加工などの中低価格帯市場においては、中国メーカーによる外資製品の代替はほぼ実現されている。特に加工用途では77%という高い国産化率を記録しており、精度要件が超精密に達しない領域において、中国製のコストパフォーマンスが受入れられていることが示唆される。

ハイエンド市場:外資の残存陣地

外資メーカーの優位性は、自動車、半導体などのハイエンド分野に集中している。特にクリーン環境下での精密組立(半導体、液晶ディスプレイ製造等)では、外資系が73%という圧倒的シェアを掌握している。溶接および塗装においても、品質の均一性や長期信頼性が重要視される自動車産業を中心に、外資メーカーが優位に立っている。

中間領域:搬送分野

搬送&ローディング/アンローディング用途では、国内メーカー54%、外資系46%とほぼ互角の構図となっている。ここでは「単純作業ほど国産化が進行し、高度なプロセスほど外資が強い」という構造が、最も明確に表れていると言えよう。

政策環境の転換:エコシステム構築へ

中国のロボット産業政策は、マクロな産業戦略の策定段階から、ヒト型ロボットを中心とした重点領域への支援強化、応用シーンの開拓、産業エコシステム構築へと移行している。政策手段も、発展計画・指導型支援から、技術標準の整備、データ基盤の構築、金融支援、実証シーンの開放へと多面化している。

国家レベルの主要政策

地方レベルの産業クラスター目標


北京市

1,000億元級

エンベディッドAI産業クラスター形成(2025~2027年行動計画)。量産1万台突破、コア企業50社を育成。

上海市

500億元超

2027年までにエンベディッドAIのコア産業規模500億元突破、コア技術のプレースホールダー20件以上。

深圳市

1,000億元級

エンベディッドAIロボット技術イノベーション及び産業発展行動計画(2025~2027年)


2025年11月時点で国内には150社を超えるヒト型ロボット企業が参入しており、重複投資による低価格競争を回避し「規範的発展」を促す業界ガイダンスも示されている。政策の目的は「量」の拡大ではなく、エコシステム全体の高度化にある。

日系企業への戦略的示唆

自動車・半導体の組立・加工、大型6軸、クリーン環境用途——これら外資が依然として優位な領域は、精度・信頼性・長期安定稼働が最重要視される市場である。日系企業の品質管理能力と技術的深みは、当該領域において最大の差別化の源泉となりうる。

川上(コア部品)領域への参入機会



2026年は「量産元年」と位置づけられ、減速機・サーボモーター・センサー・アクチュエーターなどのコア部品市場の急拡大が見込まれる。自動車産業で培われた精密加工技術、モーター技術、制御技術を活かした川上領域への参入は、現実的な成長路線である。

エコシステム型ビジネスの可能性



中国メーカーの台頭は脅威である一方で、現地企業との提携、技術連携、合弁事業を通じた共創の機会も拡大している。特に、人型ロボットの商業化・量産本格化に伴うサプライチェーンの再編は、新たなパートナーシップの構築余地を生んでいる。

本稿で示した機種別・用途別のシェア構造、政策の質的転換に関する分析は、いずれもFNA調査部の調査報告に基づくものである。

2026年7月31日に発行、現在好評発売中!

2026年版

中国産業用ロボット市場調査総覧

2026年版中国産業用ロボット市場調査総覧

中国ロボット産業の全体構造から最新の市場トレンドまで、幅広い視点で分析し、日本企業にとってのビジネスチャンスと具体的な参入アプローチを提示いたします。

本レポートの注目ポイント

1

産業用ロボット産業チェーンにおける市場機会を徹底分析

産業用ロボット産業チェーンを川上(コア部品・素材)、川中(ロボット本体・システムインテグレーション)、川下(アプリケーション・サービス)の各領域に分類し、バリューチェーン全体の競争構造、主要プレイヤー、参入障壁を体系的に分析する。


そのうえで、日本企業が技術的優位性を発揮できる有望分野や、新たな市場機会について明らかにする。

2

【年度特集】

ヒト型ロボット量産元年によるコア部品市場の急拡大

本年度の特集では、ヒト型ロボットの商業化・量産が本格化する「量産元年」に焦点を当てる。量産フェーズへの移行に伴い、減速機、サーボモーター、各種センサー、アクチュエーター、力覚センサーなどのコア部品市場の急速な拡大が見込まれている。


本特集では、こうした需要拡大がサプライチェーン全体に与える影響を、定量・定性の両面から分析し、新たなビジネス機会を提示する。 

3

日本企業の対中ビジネス戦略と今後の方向性を明確化

中国市場における日本企業の参入・事業展開戦略を体系的に整理するとともに、先行企業の成功要因および課題を分析する。


さらに、現地企業との提携、現地生産、技術ライセンス、合弁事業などの各種事業モデルを比較検討し、市場環境、政策動向、競争環境を踏まえた実践的な市場参入・事業拡大の方向性を提示する。

4

日系自動車サプライヤーによる川上領域参入の成功事例を解説

自動車産業の電動化や開発サイクルの短縮が進むなか、従来、自動車部品を中心に事業を展開してきた日系サプライヤーが、精密加工技術、モーター技術、制御技術、品質管理などの強みを活かし、産業用ロボットの川上市場へ参入する動きが加速している。


本レポートでは、自動車産業で培われた技術・ノウハウのロボット分野への応用可能性を分析するとともに、実際の参入事例を取り上げ、その成功要因と今後の展望について考察する。

レポート概要

電子版(PDF)/210ページ以上

「中国市場で何が起きているのか」ではなく、

「次にどこで商機が生まれるのか」。

その判断材料を、この1冊で。


数量・期間限定のため、中国ロボット市場への参入・事業拡大をご検討の企業様は、ぜひこの機会にご検討ください。

詳細・お申し込みについては、

FNAまでお気軽にお問い合わせください。

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