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特別企画|FNA週刊ロボット情報レポート

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2026年9月7日ロボット人型ロボット中国製造業週刊

特集

ロボット産業

中国日系企業経営層が

今週注目すべき産業動向

今週北京で開幕した「2026世界ロボット大会(WRC)」では、世界人型ロボット運動会が同時開催され、人類の世界記録を凌ぐ走力・跳躍が次々と披露。今年上半期の中国製人型ロボット出荷台数は4万台超・世界シェア97%に達したとの報告もありました。週刊ロボット情報レポート、ぜひご一読ください。

TOP NEWS

《2026年人型ロボット産業発展報告》を発表——上半期の中国出荷台数は4万台超、世界シェア97%へ

「中国人形機器人与具身智能百人会」が編纂した《2026年人型ロボット産業発展報告》がこのほど発表された。報告によると、2026年上半期の中国の人型ロボット出荷台数は4万台を超え、世界シェアは97%にまで達した。技術革新は「クラスター型の湧現」という新たな段階に入り、環境認識・計画決定・運動制御の能力が向上。主要チップ・部品から完成機までをカバーする産業チェーンの製造能力が形成され、応用も小規模な試行段階から継続的な導入・大規模化へと移行しているとされた。さらに、標準制定・人材育成・国際協力・革新基盤の「四位一体」の産業エコシステムの構築も進んでいる。

出典:人民日報(8月25日)

上海市「十五五」戦略性新興産業発展規画を発表——高精度センサー・デクスタスハンドなどコア技術の攻略を明記

8月26日、《上海市戦略性新興産業発展「十五五」規画》が発表された。スマートロボットの性能向上と応用の拡大を推進し、高精度多モーダルセンサーや関節モジュール・デクスタスハンド(霊巧手)などのコア技術を攻略したうえで、多形態の汎用スマートロボットの代表的な製品開発を加速する方針を打ち出した。地方政府レベルでも「十五五」(第15次5ヵ年計画)期間中のロボット産業支援体制が具体化しつつある。

出典:財聯社(8月26日)

2026世界ロボット大会が閉幕——ロボット製品14万点超を販売、44件の新技術を発表、「調達日」には海外ニーズも

8月23日、2026世界ロボット大会(WRC)が北京で閉幕した。5日間でロボット製品14万点以上が販売され、エンボディドAI世界モデル・ロープ駆動デクスタスハンド・柔軟触覚データ収集デバイス・大小脳融合チップなど44件の新技術・新方案が発表された。初めて設けられた「調達日」では、英国・シンガポール・タイなどの産業代表が自国での調達ニーズを発表し、工業製造・ヘルスケアサービス・自動車スマート製造などの専門マッチング会でも実際の商談が進んだ。数字華夏(深圳)はヘルスケア・金融・小売シーンなどの分野で1,000台超の導入意向を獲得し、韓国・ノルウェー・オランダ・イタリアなど海外の視察団からの問い合わせも増えたという。

出典:交匯点・新華報業網(8月24日)

第2回世界人型ロボット運動会が閉幕——100m決勝は8秒64、閉幕式で世界初の「全量データセット」(2,500時間超)を業界に無償公開

8月26日晩、第2回世界人型ロボット運動会は北京国家速滑館「アイス・リボン」で5日間の熱戦の末、閉幕した。最終日の注目種目・100m(大型クラス)決勝では、北京人形ロボット創新中心の「天工Ultra」が8秒64をマークし、前日に自身が出した8秒86をさらに更新した。ウサイン・ボルトの人類世界記録9秒58を約1秒上回る結果となった。前回大会との比較では、100mが21秒50→8秒64、400mが1分28秒03→38秒15、1500mが6分34秒40→2分21秒64、立ち高跳びは0.96m→3.40m、立ち幅跳びは1.25m→4.83mと、ほぼ全種目で記録が大幅に更新された。また、閉幕式では世界初の「世界級人型ロボット運動会全量データセット」が発表された。訓練・本戦期間に収集された総時間2,500時間超のデータで、工業・商業施設・飲食・オフィス・家庭・消防救助など12の応用シーンを網羅している。失敗ケースや境界工況も含む多層なデータ体系となっており、具身知能モデルの訓練に直接活用できるとして業界に無償公開される。あわせて5項目の公募型研究開発課題が発表され、第3回大会は2027年8月に引き続き北京で開催されることも決定した。

出典:新華社、人民日報、Global Times(8月27日)


主要メーカー量産進捗

智元機器人(AgiBot)

第2回世界人型ロボット運動会開幕式でフルサイズ二足機「遠征A3」24台が20名のダンサーとラテン・ヒップホップなどを共演し、世界最多の人とロボットの共演「律動未来」を披露。同機は五輪金メダリストの丁寧氏との卓球ラリーもこなした。「精霊G2」「霊犀X2」も出場し、霊犀X2は24日の100m障害で金メダルを獲得した。

出典:中国経営報(8月23日)

楚天都市報(8月24日)

小米(Xiaomi)

雷軍董事長が人型ロボットが自主開発チップ「玄戒O3」などを手にする写真を公開。同ロボットは小米自動車工場で4ヶ月以上の「実習」を重ね、セルフタッピングナット供給作業における成功率を90.2%から98%へ高めた。

出典:新浪科技(8月25日)

小鵬汽車(XPeng)

人型ロボット「IRON」を2026年末に量産開始し、初期は自社店舗・園区で活用、2027年に国内外へ納入する計画。ロボット事業で9億ドル(資金調達後の評価額63億ドル)の資金調達を発表し、2027年には市場需要に応じて月産数千台まで生産能力を引き上げ可能とした。

出典:財新網(8月25日)

栄耀(Honor)

自主開発ロボット「閃電」が400m(大型クラス)を39.45秒で完走し、人類の世界記録を更新。100mを9.32秒で走る映像はテスラのマスクCEOもリポストし話題となった。身長1.4m未満の小型機「元気仔」も高い歩行ピッチの走行で注目を集めた。

出典:広東発布・東方財富(8月24日)

四川具身科技(EIR)

感情対話型の人型ロボット「愛湫」を9.8万元から正式発売。成都市内30超の銀行拠点で大堂マネージャーとしての起用を計画し、「人を理解する」能力を実際の現場で継続的に進化させる製品戦略を掲げる。

出典:藍鯨新聞・封面新聞(8月24~25日)

優必選(UBTECH)

2026年上半期、航空製造・自動車工業・スマート製造の3分野で新規注文累計10億元を超えた(うち億元級が3件)。西門子と共同建設した人型ロボット「スーパー工場」が8月に完成し、年間1万台の年産能力を備えた。主力の工業用人型「Walker S2」は月産300台超で年内500台超の納入を計画するほか、国内の大規模言語モデル企業との5,000万元超の販売契約(データインターフェースと基盤技術の開放・AIモデル搭載の共同開発を含む)も発表。

出典:網易科技・阿斯達克財経(8月25日)


サプライチェーン動向


兆威機電、デクスタスハンドの製品群が始動——蘇州産業パークが全面稼働、香港H股上場で量産・開発体制を強化

精密マイクロ駆動大手の兆威機電(003021.SZ)は2026年半期報告で、人型ロボット向けデクスタスハンドの製品マトリックスが整い、顧客ニーズに応じて電子スキンや各種センサーを搭載可能なことを明らかにした。スマート自動車の主要顧客からの定点受注も取得し、蘇州産業パークは全面稼働に入った。同社は香港H株上場で約16.3億元を調達しており、ロボット・スマート自動車の両分野への研究開発投入と生産能力の増強を支える体制が整った。

出典:新浪財経・会社公告

(8月25日)


速騰聚創、上半期のLiDAR販売71.9万台——ロボット向けは前年比+510%と急拡大

LiDAR大手の速騰聚創(RoboSense)の2026年上半期のLiDAR製品総販売台数は71.92万台(前年比+170%)に達し、うちロボット分野向けは28.26万台(同+510%)と大きく伸びた。8月26日に公表された中間決算の詳細では、上半期の総収入は10.20億元(前年比+30.2%)で、ロボット分野の収入は製品収入の半分近くを占め、ロボット向け3種の新製品が下半期に順次納入される。今回のWRC会場のロボットにも同社製品が多く採用されており、ロボット産業の成長が感知部品メーカーの業績を直接的に押し上げる構図が鮮明になっている。

出典:南方+・会社中間決算

(8月24日)、芯流智庫(8月26日)


本末科技が香港IPOへ——直駆パワーモジュールの年間出荷850万個、消費ロボット分野で中国トップ

直駆モーターモジュールの本末科技(Direct Drive Tech)が香港証券取引所への上場を目指している。目論見書によると、2025年の直駆パワーモジュール出荷量は約850万個に上り、収入ベースで中国の消費ロボット向け直駆パワーモジュール市場で首位に立っている。人型ロボットの量産拡大を受け、関節駆動モジュールの供給能力そのものが資本市場から評価される段階に入った。

出典:南方+(8月24日)


導入事例が拡大——成都で銀行・水力発電所・博物館への「配属」が相次ぐ

成都では人型ロボットの導入が加速している。成都人形ロボット創新中心はこのほど5,000台のエンボディドAIロボットの戦略調達契約を獲得し、中国電建成都院と共同開発したベルトコンベア巡視ロボットは双江口水力発電所に正式に配備された。天絳芯華の文化観光施設向けロボット「小芯」は成都自然博物館・眉山三蘇祠博物館で累計60万人以上の来館者にサービスを提供している。卡諾普(CROBOTP)は31自由度の双足人型機など3機種を展示し、人間の工具をそのまま使える点をアピールした。また万勳科技は運動会期間中に高空セルフ式精密洗浄ロボット「猟戸座C1」を発表し、首鋼園で導入を開始した。

出典:封面新聞(8月24日)

万勳科技発表(8月25日)


今週の深読み

「人間超え」の先へ——競争の軸は運動性能から「現場力・量産力」へ

今週の世界人型ロボット運動会では、走高跳3.40m、1500m2分21秒64、そして最終日の100m決勝8秒64と、人類の世界記録を上回る成果が続出した。前回大会からわずか1年で記録が桁違いに更新されたことは、ハードウェアの進化が加速度的であることを示している。人民日報の取材に対し、北京人形ロボット創新中心の運動制御専門家は「ロボットの運動能力の上限はハードウェアの上限で決まる」と語り、関節モジュールの高トルク化、高放電倍率の電池・軽量高強度材料・運動制御アルゴリズムが一体となって記録を支えたと説明した。ただし、より本質的なのは種目設計の変化だ。綱引きは「重心の動的調整と持続負荷」、投壺は「デクスタラスハンドによる掴みと投げる動作」、商店小売は「接客・陳列・会計の一連の作業」と、いずれも現場の作業能力をそのまま測る内容であり、競技が実用化に向けた検証・評価の基準として機能し始めている。「速く走れる」ことはもはや前提となり、各社の競争の軸は「現場で安定して働けるか」へと移っている。


それを裏付けるのが、上半期4万台超・世界シェア97%という出荷実績である。量産の推進役として今週目立ったのは、自動車・スマホ発のプレイヤーだ。小鵬汽車は「IRON」の年末量産と9億ドルの資金調達を発表し、小米は自社の自動車工場での4ヶ月超の実習成果と自主開発チップとの組み合わせを披露、栄耀は自社開発機で世界記録を更新した。加えて優必選は上半期に航空・自動車・スマート製造で新規注文10億元超を獲得し、西門子との共同「スーパー工場」が完成。これらの企業は、工場という「最初の顧客」と、製造ノウハウ・サプライチェーン・資金・チップを一体的に活用できる点で共通する。「自社需要で育て、外部に売る」という中国式の量産モデルが、受注と資金の流れの面でも形になりつつある。


国際的な見方の変化も見逃せない。マスクCEOによる映像のリポストや、米ブルッキングス学会の研究員が銀河通用の自律テニスに「100m世界記録以上の衝撃」と投稿するなど、海外の専門家・経営者の評価が具体的な技術への言及へと変わってきた。WRCの「調達日」では英国・シンガポール・タイなどが調達ニーズを提示し、外交部も25日の記者会見で「技術の互通・標準の共建・市場の共有」を掲げて開放協力を強調した。中国ロボットは「話題の見本市」から「世界の調達先・協業相手」へと位置づけを変えつつある。


注目すべきは、競技の成果が「データ資産」に変換され始めたことだ。閉幕式で発表された全量データセット(2,500時間超)は、成功例だけでなく失敗ケースや境界工況まで含む業界共有の訓練データとして無償公開され、「メダルをデータに、データを次のモデルに」という循環が公共の場で始まった。


競争の軸が「安定稼働・量産」に移る局面こそ、長寿命化・高信頼性の部品技術、精度検査・計測、品質管理といった日本企業の強みが最も求められる段階である。速騰聚創のロボット向けLiDARが+510%、本末科技の直駆モジュールが年間850万個に達するなど、部品需要の本格化は数字の上でも明白だ。8月26~28日に深圳で開催されるAGIC・GERX両博覧会(出展1,000社超、海外バイヤー1.8万人超が登録)は、華南のサプライチェーンに直接アクセスできる絶好の機会となる。個別機種のスペックを追うだけでなく、「量産を支える層」と「データを回す層」の両方にどう入り込むかを設計する時期に来ている。




『2026年版中国産業用ロボット市場調査総覧』

7月31日より好評発売中

今週の世界人型ロボット運動会で人類の世界記録を上回る走力・跳躍が次々と披露され、上半期の中国産人型ロボット出荷が4万台超・世界シェア97%に達したことが示す通り、中国ロボット産業は「技術を披露する段階」から「量産・実運用が本格化する段階」へと入りました。本レポートでは、産業チェーン全体の需給マッチングの実態、コア部品(減速機・モーター・ボールねじ・力覚センサー等)の市場規模および日系企業の参入機会とビジネスチャンスを多角的に分析します。

本レポートの注目ポイント

  • 産業用ロボット産業チェーンにおける市場機会を徹底分析

  • 【年度特集】ヒト型ロボット量産元年によるコア部品市場の急拡大

  • 日本企業の対中ビジネス戦略と今後の方向性を明確化

  • 日系自動車サプライヤーによる川上領域参入の成功事例を解説

変化の速い中国ロボット市場を戦略的に捉える必携の一冊です。

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